2020年6月12日金曜日

牛石と「くつめき」

牛石様・沖(武石村誌 民俗編より)
牛石様・沖(武石村誌 民俗編より)

牛石の表面
牛石の表面

武石の牛石です。白黒写真は『武石村誌 民俗編』(平成元年 1988) 237頁より。
依田川が東へ曲がる所で、南北の交通の左岸側の最短コース上でしょうか。
観察すると安山岩~デイサイト質の火砕流由来の溶結凝灰岩のようでした。数センチ大の黒い岩片を含みます。やや層理があって上が垂直断面でギザギザしている感じ。依田川右岸に立岩の岩壁があり、その付近の岩石かも。黒い粒はたぶん角閃石。(保科百助が立岩で角閃石を採集した記録があります。長野県地学標本等には入っていません。もしかしたら大きめの分離結晶もあるのかも。)

小山真夫『小県郡民譚集』(昭和8 1933)に「此道が県道となつた時牛石を堀出して、道の東側に据へたのに、偶くつむきが流行した、里人は牛石の祟りだとし、之を祭つた。」とありました。「くつむき」は辞書等では見つけられませんでしたが、流行病で、同時期の他の本に「百日咳」ともあるので、「くつめき」と同じだと思います。時期から考えると、スペインかぜ(大正7-9 1918-1920) でしょうか。情報不足で、別の時代・地域の話の翻案の可能性もありますが。
(バイアスから自由になるのは困難なことで、家族に病人がいて絶対に感染を避けたくて強い規制・圧力・隔絶を望む人がいたり、確実さが不明な中で特定の方向性の情報源ばかりを選択してしまう人がいたり…)

沖の牛石
https://museum.umic.jp/map/document/dot106.html
小山真夫『小県民譚集』(昭和8 1933) 牛石
https://sites.google.com/view/uedanominwa/mintanshu
俚言集覧 上巻 (明治32) くつめき
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/991569/394

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