「ひと恋し火とほしころをさくらちる」(左から2行4字目)、 「もの恋し火ともし比をちる桜 志ら尾」(右2行目) (上田市立博物館『上田藩の人物と文化』(1986) 41頁 44頁) |
「ひと恋し火とぼしころを桜ちる」は、加舎白雄(かや しらお 1738-1791)の代表作と言われていますが、十年以上推敲したのと、没後の変化もあったため、微妙に異なる句があるそうです。
「もの恋し火ともし比をちる桜」は初期の案。『安永五年きぬさらぎ七日 草稿』という、手塚での句会の記録(自筆)にあります。
これはこれで良い句に思えます。(というか、どれも一長一短のような… 「人恋し~」は花の句にしてはイ音が少し煩い感じ…)
「もの恋し~」の句碑を、手塚の桜の名所か、とっこ館とかに建ててみるのはどうでしょうか。
「火とほし」は「火とおし」と読んでいた可能性はないのか?と思って探してみましたが、例は見つかりませんでした。
(方言かもしれませんが、火が消えることを「火がとぼる」と言います。「火とぼし頃」に「消す」のニュアンスを感じてしまい、少し混乱するようです…)
(画像の字句)
杜宇啼や撞楼に人のかけ 楚丘
もの恋し火ともし比をちる桜 志ら尾
纜や心もとなき五月雨 楚丘
疑宝珠に緑青うきぬ五月雨 双魚
白梅にうたひの響く障子かな 楚丘
寺町や竹の子賣に雨そほつ ヽ
遅日ゆふつきて燈籠の辻福田
なにかしかもとにやとる
花となかめ桜と詠め日は
くれぬ ひと恋し火とほし
ころをさくらちる
参照:
上田市立博物館『上田藩の人物と文化』(1986)
矢羽勝幸『俳人加舎白雄伝』(2001)
加舎白雄
https://museum.umic.jp/jinbutu/data/008.html
(今年の花見)
暁に鳥に食われし花もあり
風止みて虫を目で追う花見かな
悠々と君の眠りし花車
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