2019年3月30日土曜日

玄能石(ハンマーヘッド形)

玄能石
玄能石(T字形 各約6cm)

玄能石
『長野県地学図鑑』(1980)138頁 玄能石(T字形 約10cm弱)

『長野県立歴史館たより Vol.98』表紙
『長野県立歴史館たより 2019 春号 Vol.98』表紙


玄能石(げんのういし・げんのうせき)の名前の由来かもしれない、T字形の玄能石です。
(※越戸の産地は採集禁止、立入禁止になっています。)
『長野県地学図鑑』にあるようなT字の下棒が長いタイプはあまり見ませんが、短いタイプは見かけます。
両錐形のものだけを見ても金槌・玄翁は連想しにくいですが、いくつかある中にT字形のものが一つでもあれば、ハンマーが連想されて、両錐形のものもハンマーの頭部に見立てることができるかもしれません。
明治28年に武石(たけし)小学校の保科百助(ほしな ひゃくすけ 1868-1911)のところに持ち込まれた玄能石にも、T字形のものが含まれていたのかも。

海外ではどんなものに見立てているか、ウェブを検索してみると、blade(刃)、cross、star-shaped、chicken foot(鶏の足、紅葉)、rose rock、pine cone(松かさ)、パイナップル、サブマリン、molekryds(モグラのcross?)、Gersternkorner(大麦の粒)等がありました。ハンマーに見立てる例は日本以外では見つかりませんでした。石製のハンマーの頭部を hammer stone、hammerhead stone と呼ぶことはあるようです。

一番下の写真は『長野県立歴史館たより 2019 春号 Vol.98』表紙より、佐久市下茂内(しももうち)遺跡の槍先形尖頭器(石槍)(無斑晶質安山岩製)です。両錐の玄能石は、このような石槍・尖頭器に似ていますが、「(あまり似ているようには見えない)玄翁に似ているから玄能石と呼ばれた」という話が広く受け入れられています。名前から由来が作られる作用は、人間にとって、不可避な錯覚のようなものなのかも。

長野県立歴史館 2019年巡回展「長野県の考古学-時代を映す匠の技」
平成31年3月16日(土)~6月23日(日)
https://www.npmh.net/

2019年3月23日土曜日

サンマの骨格

サンマのウロコ
サンマのウロコ(約5mm)

サンマのウロコ
サンマのウロコ(約5mm)

サンマの咽頭歯
サンマの咽頭歯(上咽頭歯 長さ1mm)

サンマの咽頭歯
サンマの上咽頭歯

サンマの咽頭歯
サンマの下咽頭歯

サンマの歯
サンマの顎の微小な歯

サンマの骨
サンマの歯骨と鰓の骨

サンマの耳石
サンマの耳石(左耳石 長さ2mm)

サンマ(Cololabis saira)の鱗、咽頭歯、顎の微小な歯、歯骨と鰓の骨(写真左上から、歯骨、前鰓蓋骨、間鰓蓋骨、主鰓蓋骨(写真右上)、下鰓蓋骨)、耳石(左耳石。写真左は外側とそれを手前(腹側)から見たもの、写真右は内側とそれを手前(腹側)から見たもの)です。

サンマのような、現在は身近な魚でも、化石の観察で必要になる骨格の細部の情報はなかなか見つかりません…

2019年3月19日火曜日

川原で化石採集

ニシン科の魚鱗化石
ニシン科の魚鱗化石(約10mm)

日曜日に川原の石ころ観察会があって参加しました。上流に海成泥岩がある所で、転石から化石採集も体験できました。写真はニシン科の鱗(約10mm)で、ヒシナイイワシ(Eosardinella hishinaiensis)でしょうか。
泥岩には硬軟ありますが、軟らかいものは壊れやすいので、川原で転石になっているのは、変質などのために全体または一部分が硬くなっているものとのこと。これをアーモンドチョコレートの法則と言うとか。(たぶんジョーク?)
軟らかい部分を含む大きめの岩塊は付近の露頭のものである可能性が高いですが、硬い小さめの塊は、別の場所や、人為的に運ばれたものである可能性もあって、化石の産出場所を確定するのは簡単ではないそうです。(千曲川で、サザエの貝殻とか、マダガスカル産のアンモナイトが見つかっても不思議はないわけです。)
今回見つけた魚や植物の化石は、どれも付近の中新世のものでほぼ間違いないようでした。

10年前、ブログに「知識経験の積み重ねができず、何十年経っても同じ状況、ということがないように。」などと書きましたが、進展は微々たるものです…
魚鱗化石も、別所層・青木層では毎度多数見ていますが、標本作り・観察・情報収集・基礎知識がまだまだ足りず、新しい気付きにあまり繋がっていません。
写真の魚鱗化石は左が頭側で、右が尾側。上下は不明。溝条の間隔は写真上側の方が写真下側よりもやや狭くなっています。現生の、どの種類のどの部位の鱗に似ているのか?と思い、情報を探してみるのですが、なかなか見つからず…
今後も、何ができるかわかりませんが、アイデアを出しながら謎解きを楽しめれば、と思っています。