ラベル 産地情報など の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 産地情報など の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年2月2日火曜日

鉱物の世界、大人のつきあい

発泡した流紋岩の粒状の黒曜石
発泡した流紋岩の粒状の黒曜石

安山岩の変質した輝石
安山岩の変質した輝石(緑と青黒の部分)

石英閃緑岩表面の角閃石、輝石
石英閃緑岩表面の角閃石、輝石(小粒)

緑色凝灰岩の斜長石の斑晶
緑色凝灰岩の斜長石の斑晶(中央)

流紋岩の斜長石の斑晶
流紋岩の斜長石の斑晶(中央)

植物化石が分解してできた霜柱状鉱物
植物化石が分解してできた霜柱状鉱物(緑礬?)


NHK 所さん!大変ですよ「ブーム到来!?不思議な鉱物の世界」の配信(TVer)を教えて頂いて、見ました。
スピリチュアル、パワーストーンの話はほとんどなく。鉱物標本の擬人化はありました。系統や宗派のようなものもあるのでしょうか…

見立て遊びで、生チョコが「武石」でした。レーズンの黒曜石はアパッチの涙でしょうか。卵は珪乳石、きざみ葱は孔雀石のさざれ?
ケーキは「珪乳石」との表示でしたが、たぶん同じ品物のウェブの写真では「ラピスラズリのオペラ」になっていました。

大きさや珍品にこだわらないなら、身近な石ころの中の鉱物も、拡大して観察するといろいろ特徴があって楽しめるかも。(人とは繋がりにくいかもしれませんが…)

石好きは石と深く関わっているように見えても、その石がいつどこで、どんな環境で生まれ、どんな経緯で今ここにあるのか等の具体的なことは、調べてもよくわからなかったり、知ろうともしていないこともあります。あまり詮索はしない、大人のつきあい方?

雲や空の光も気象の仕組みと関係付けて楽しみたくなりますが、理屈を好まない方向性もあるのかも…

ヒスイハンターの取材では「絶対 売らない」「絶対 売らない」「お金には代えられない魅力がヒスイにはあるという」とのストーリーでした。「注意点」が影響している?(販売目的の採集は違法? ハンターの執拗な採集は常識的範囲内? 穴を掘るのは範囲内?)

ヒスイ拾いの注意点(新潟県糸魚川地域振興局地域整備部より)
 個人の趣味の範ちゅうで常識的な範囲で行う
 高波に十分注意する


黒曜石といえば、隠岐の産地の映像が、少しですが、NHKの番組でありました。
新日本風土記「隠岐諸島」(2021年1月29日 2月5日)
https://www.nhk.jp/p/fudoki/

スピリチュアル系図鑑 辛酸なめ子 第1回 パワーストーン系
http://webheibon.jp/spiritualkei-zukan/2017/04/post.html

石拾い・土砂の持ち帰りが違法になるケース
https://yoi-net.com/archives/3157

ナショナルジオグラフィック日本版
研究室に行ってみた。気象庁 気象研究所 雲の科学 荒木健太郎
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/18/013100002/

2020年11月23日月曜日

石の名前、情報発信と乱獲

大石橋と猫石
大石橋と猫石(UCV「自慢ばなしめっけた ~大屋の巻~」(1989) より)

松脂岩(千曲川)
松脂岩(千曲川)

石の地方名はたいていは種類名で、同時にローカルな固有名であることも多いです。例えば、猫石は「猫のような石」であり、大屋の大石橋付近では、かつてあった大岩(溶結凝灰岩)の名前でもあります。

固有の石は採集対象にはなりにくいので(なることもありますが)、ネットで楽しむには良いテーマかも。大石(雷電の出身地)の「七つ石」等、各地にあります。
ちょっと変わった名前で「コロンブス」というのを聞いたことがあります。近くの山にある3mほどの岩で、名前から連想される形の中でたぶん一番シンプルな形。(アメリカ大陸ではなく)

一方、採集対象になる鉱物や岩石の場合は、名前を出さないこともあります。むしろ、状況に応じて、情報の削除を考えたり。(詳細を伏せても、文脈や写真から場所を推測されたり、無関係な既知の産地に採集が集中したり。古い記述で著作権の問題や直接的な違法性は無いとしても。石に名前を付けて宣伝すれば、魅力度は向上しますが、採集圧力も増大して、長く楽しむことはできなくなる可能性も。観光資源にすることが最優先で、他の不都合は二の次、くらいの感覚なのかもしれませんが…)
結果を予想できなかったという言い訳はたぶんもう通用しないので…

採集可否のグレーゾーン付近を分類すると、例えば
× 権利侵害になる採集
× 環境に影響を与える採集
× 累積して環境に影響を与える採集
△ 累積せず環境に影響をほぼ与えない採集
累積しない採集だけ、ケースバイケースで、大目に見てもらっているという現状。
情報共有の問題の一つは、それが累積の程度に直結すること。
(ただ、問題が無いのに(問題の有無もグレーですが)占有を厳格にするためだけに野外の自然物の持ち出しを一切禁止するというのは、幸福を損なう悪習であり、それも正しくないように思います。持ち出しの禁止が息苦しさや敬遠に繋がっていないか観察する必要もある?)

学術研究目的・教育目的でも、環境に影響が出るなら、せめて後からでも批評する必要はあるのではないでしょうか。(記載された場所が、崩され、立入禁止になっていたりするのをフォローしている?)
情報分野も情報共有の問題点の洗い出しや対策は後回し? 目まぐるしい実験的な状況が続き、重要課題も多いので仕方ないですが、安易な汎用も無責任で、実用は絵に描いた餅。(単純さと泥臭さが必要)

そういえば日本遺産で郷土環境保全地域の話が無かったような… 保護地域だと知らずに違反行為の写真をネットで公開、という気の毒な話もあります。自然保護の広報も十分に行う必要があるかと。

石ころ観察でも便乗して(?) 切石や刀石の名前が出ていましたが、ニュースにもなっているんですね。石の種類・成因、周辺の地質との関係とかも面白そう。(便乗したい人、捏造を嫌う人。程度も様々)割石だんご、割石まんじゅう、他にもいろいろ… メロンパン、味噌パン(焼き菓子)、チョコパイとかも、どうでしょう?
小石が採集対象になることは無いと思いますが、もしなったとしたら、不吉なハチマキ石や首切石との関係はどうなるでしょうね。(吉凶入り乱れて、三すくみ四すくみになるのは好ましいことかもしれませんが。)
※三保松原の砂や石は持ち帰り禁止とのこと。※
三保松原 お知らせ
https://miho-no-matsubara.jp/archives/2853
 ※海岸の砂や石のお持ち帰りはできません。

新称偽称も出てきそうで、もしかしたら、登録商標で自由に使えない、なんてことも現代では起こる可能性も。鬼滅、鬼切とか。
本原の小玉神社(割石明神)では割れた大岩に社を祀っています。

盗掘
https://www.ishitomo.club/post/___盗掘
猫石
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/35517041
独鈷山郷土環境保全地域
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/34927798
日本遺産ストーリー 子供銀行券 (日本遺産スペシャル)
https://kengaku2.blogspot.com/2020/12/blog-post_31.html
曲がった直線、裸の王様、袈裟供養
https://kengaku2.blogspot.com/2020/11/blog-post_15.html
日本遺産 ストーリーのデパートメント化
https://kengaku2.blogspot.com/2020/11/blog-post_12.html
日本遺産 レイラインの幅
https://kengaku2.blogspot.com/2020/10/blog-post_15.html
新しい鞍が淵伝説
https://kengaku2.blogspot.com/2020/10/blog-post_27.html
黒羊石、はちまき石、一文字石
https://kengaku2.blogspot.com/2020/02/blog-post.html
切り石(北佐久郡と小県郡の境石)
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/33233763

2019年4月6日土曜日

江戸時代の武石(ブセキ)

武石(たけいし)  『信濃国大絵図』(天保6 1835)より
武石(たけいし) ( 『信濃国大絵図』(天保6 1835)より)

武石(たけし)村の武石(ブセキ)は江戸時代から広く知られていました。
現在は上田市の天然記念物に指定されています。
(なので「緑簾石の焼餅石」(上田市天然記念物)と同じく、武石地域での採集は控えるようにしています。)

もしも当時、県の石を選んだら、鉱物はブセキだったのかも。(和田峠のざくろ石の江戸時代の記録はあまり残っていません。)
ブセキと呼び始めた時期についてはまだよくわかりません。

・木内石亭(1725-1808)『雲根志 三編』(享和1 1801)や木村蒹葭堂(1736-1802)の『貝石標本』では自然銅(じねんどう)と呼んでいます。(他には「箱石」など)
・1797年(推定)に越後高田藩 鈴木一保(甘井、穂積保)(1744-1812)が信州上田の成沢雲帯(1739-1824)に送った手紙に「武石」の名前がありました。読みは不明。(矢羽勝幸著『書簡による近世後期俳諧の研究』(1997))
鈴木甘井、成沢雲帯は木内石亭と交流があり、鈴木甘井は『神代石之図』の跋文を書いています。
・小野蘭山(1729-1810)口述『本草綱目啓蒙』(享和3 1803)の「自然銅」に「信州武石村ノ武石峠ニアリ方言ヲドメイシ又ブセキトモ云フ」とあります。
・市岡智寛筆『若様江呈上覚』(文化5 1808)に「一 同(※前行に「信州」)武石  武石 五」とあります。読みは不明。
・『信濃国大絵図』(天保6 1835)の「名産之部」に「武石(たけいし)」があります。石と思われるのはこれだけで、他は、蕎麦、上田縞、岩茸など。(上の画像)

『雲根志』等により「武石村の自然銅(じねんどう)」が知られるようになり、村名の「武石」が石の名前と誤解されて「ぶせき」「たけいし」と呼ばれるようになったのでしょうか。
「武石」の読み方は固定的ではなく、時々で「たけいし」とも「ぶせき」とも言っていた可能性も。
地名と石名の漢字表記が同じで、読みが異なるという、ややこしい名付けを地元の人達が好んで行ったとは考えにくく、地名として意識する必要が無い他地域の弄石家が「武石」「ブセキ」と呼び始めたのではないでしょうか。

鉱物学が広まると、「十二面体が武石(ブセキ)で六面体が桝石(ますいし)」等の新たな定義を言い出す人もいて、それらを地方での呼び名と混同する人もいたようです。たぶん多くの理科の先生は民俗を重視しないので、この手の話は、きちんと根拠が示されているもの以外は真に受けない方が良いと思います…

2019年3月30日土曜日

玄能石(ハンマーヘッド形)

玄能石
玄能石(T字形 各約6cm)

玄能石
『長野県地学図鑑』(1980)138頁 玄能石(T字形 約10cm弱)

『長野県立歴史館たより Vol.98』表紙
『長野県立歴史館たより 2019 春号 Vol.98』表紙


玄能石(げんのういし・げんのうせき)の名前の由来かもしれない、T字形の玄能石です。
(※越戸の産地は採集禁止、立入禁止になっています。)
『長野県地学図鑑』にあるようなT字の下棒が長いタイプはあまり見ませんが、短いタイプは見かけます。
両錐形のものだけを見ても金槌・玄翁は連想しにくいですが、いくつかある中にT字形のものが一つでもあれば、ハンマーが連想されて、両錐形のものもハンマーの頭部に見立てることができるかもしれません。
明治28年に武石(たけし)小学校の保科百助(ほしな ひゃくすけ 1868-1911)のところに持ち込まれた玄能石にも、T字形のものが含まれていたのかも。

海外ではどんなものに見立てているか、ウェブを検索してみると、blade(刃)、cross、star-shaped、chicken foot(鶏の足、紅葉)、rose rock、pine cone(松かさ)、パイナップル、サブマリン、molekryds(モグラのcross?)、Gersternkorner(大麦の粒)等がありました。ハンマーに見立てる例は日本以外では見つかりませんでした。石製のハンマーの頭部を hammer stone、hammerhead stone と呼ぶことはあるようです。

一番下の写真は『長野県立歴史館たより 2019 春号 Vol.98』表紙より、佐久市下茂内(しももうち)遺跡の槍先形尖頭器(石槍)(無斑晶質安山岩製)です。両錐の玄能石は、このような石槍・尖頭器に似ていますが、「(あまり似ているようには見えない)玄翁に似ているから玄能石と呼ばれた」という話が広く受け入れられています。名前から由来が作られる作用は、人間にとって、不可避な錯覚のようなものなのかも。

長野県立歴史館 2019年巡回展「長野県の考古学-時代を映す匠の技」
平成31年3月16日(土)~6月23日(日)
https://www.npmh.net/