2019年12月30日月曜日

高師小僧(褐鉄鉱)

高師小僧(褐鉄鉱)
高師小僧(褐鉄鉱)

褐鉄鉱(保科百助「長野県地学標本」?)
褐鉄鉱(保科百助「長野県地学標本」?)

上の写真はたぶん湖成層の高師小僧(褐鉄鉱)。軟らかい中空の円筒で、触ると簡単に壊れました。(「○○小僧」とか「○○振り」とか、姿に見立てるには、もう少しデコボコがあった方が良いのかも)
塩尻の千曲川沿いでも大量の褐鉄鉱が見られたという話を聞いたことがあります。こんな感じだったのでしょうか。

下の写真は保科百助「長野県地学標本」の褐鉄鉱。(ただし、容器が破損していて、確実ではありません。)「長野県地学標本」「長野県小県郡鉱物標本目録」に武石村下本入・上武石粘土中の円筒形・棒状の褐鉄鉱があるのですが、採集記録が見つからず、その後の話も聞かず、詳細は不明。小学校等に何か残っていそうな気もするのですが…
(保科百助の「野帳」は採集品の在庫台帳であり、産状の記録はわずか。地質学者になりたかったけれど神保小虎の言葉で諦めたという「筋立て」が怪しく感じられる理由の一つ。)

2019年12月23日月曜日

化石のナゾ

貝(ペッカムニシキ?)と魚のウロコ?
貝(ペッカムニシキ?)と魚のウロコ?

UCVの「上田にイルカの化石!?のナゾ」という番組を見ました。
ちいきたんけん ナゾときチャン!!
http://www.ucv.co.jp/program/nazo.html

化石を「採掘」はダメという話を採り上げて頂いたのはありがたかったです。(情報共有により採集圧力の増大・集中が起きやすくなっています。ちょっとだけのことでも、同じ所で繰り返されたら、大きな穴があきます。)

タイトルにある、イルカの化石(県の天然記念物等)は、ほとんど出てきませんでした。もしかして取材できなかった?

小さな化石は拡大写真の提示があると良いと思いました。
ちなみに上の写真は、貝(ペッカムニシキ?)と魚のウロコ?です。どちらも約1センチ。左はイタヤガイ科であることはほぼ確実だと思います。右は魚鱗の可能性が高いですが不確実で、魚の骨、貝等の可能性もあるかもしれません。(複数のものが重なっていることも。)
(不確実なときは、勝手に断定的に受け取られてしまうことがあるので、不明だとはっきり言うか、せめて異なる複数の候補を挙げる方が良いのかも。)

ウロコと貝はルーペやデジカメの接写でたぶん見分けられます。大きめの化石は魚の骨の可能性が高く、多く見つかっているのはニシン科とソコダラ科なので、とりあえず、博物館のソコダラ科化石等と見比べてみては。
夏休みの化石採集
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/34656894

できれば、採集後のこと(鑑定、報告、標本作り等)も紹介して頂けると嬉しいです。
せっかく採集しても、何の化石かわからないまま、放置、廃棄されることも多いようなので。

2019年12月21日土曜日

富士山いろいろ

富士嶽山(ふじたけさん)
上田側から見た富士嶽山(ふじたけさん)

鹿教湯(かけゆ)の富士山(ふじさん)
上田側から見た鹿教湯(かけゆ)の富士山(ふじさん)

以前、UCVの ちいきたんけん ナゾときチャン!!で上田地域から富士山の見える場所を紹介していました。(上田市の真田・神科、東御市など、千曲川の北側の高所)
http://www.ucv.co.jp/program/nazo.html

日本一の富士山とは別の富士山(郷土富士、ご当地富士など)もあって、地元で比較的知られているのは、上田市の富士山(ふじやま)地域(明治~昭和前期の富士山村)と、鹿教湯(かけゆ)の富士山(ふじさん)でしょうか。

富士山村(ふじやまむら)の村名は、富士嶽神社、富士嶽山(ふじたけさん)から付けたのだろうと思います。(富士嶽神社は宝永差出帳では富士浅間宮。富士嶽山は宝永差出帳や管見録では富士山(読みは不明)、明治の町村誌では富士嶽。)

管見録 小県郡部 (嘉永5年10月29日 1852)
(上野尚志『信濃国小県郡年表』原稿と同じ筆跡か?)
https://www.ro-da.jp/shinshu-dcommons/museum_history/03OD0622106200
(19コマ目)
冨士山 塩田組 奈良尾村ノ上ニアリ 奈良尾ノ不二ト呼リ 上ニ浅間ノ祠アリ


ちなみに富士嶽山では緑色凝灰岩と流紋岩(粗面岩)を見かけます。林道には急傾斜の層のある、比較的軟らかい緑色凝灰岩があります。(塩田平にある、崩れかけた緑色凝灰岩の石仏はこの石かも。)地形と岩石は太郎山(主に緑色凝灰岩・頁岩と貫入岩)に似ているのかもしれません。
流紋岩の露頭は見たことがなく、分布はわかりません。(林道より高い所?) 山麓にたくさんあって、石垣などの石材としても使われています。


鹿教湯の富士山は、現在の地図に「富士山」と書いてあって、読み方も「ふじさん」。「鹿教湯富士」とも呼ばれます。高くはない山ですが、上田側や鹿教湯トンネル付近で見ると富士山に似た形をしています。

上田地域の地質の富士山層(ふじさんそう)はこの鹿教湯の富士山のこと。(富士山(ふじやま)地域と勘違いされることも。) 1950年代に内村団体研究グループで呼び始めたようです。

上田地域自然電子図鑑-上田地域の地形・地質
http://edu.umic.jp/zukan/work/chikeichishitsu/chikeichishitsu-000.htm

内村団体研究グループ「内村地域の団体研究(フォッサ・マグナ)」地球科学1953巻14号(1953)
https://doi.org/10.15080/agcjchikyukagaku.1953.14_3

(「集塊岩」の言葉の定義が微妙に異なっているように感じました。信濃中部地質誌では溶岩寄り、内村団体研究では凝灰岩寄り?)

富士山層は、小川層時代以降の部分があると言われた後は、あまり話題も無いような…
仮説に合わせて材料を選択・解釈するということを今も繰り返しているのかもしません。
情報を多く蓄積するには、バイアスを減らすために、例えば、対立する複数の仮説を持って材料を集めることを意識的に行う方が良いのかも。

2019年12月5日木曜日

三葉虫ノジュールなど

三葉虫(信州新町化石博物館)
三葉虫(モロッコ産フレキシカリメネ 信州新町化石博物館)

モロッコ産化石を題材にした、アラビア語講座のテレビ録画を見せていただきました。三葉虫ノジュールの採集の様子、等。
アラビーヤ・シャベリーヤ
https://www2.nhk.or.jp/gogaku/arabic/tv/

大きめの化石が入っているためかもしれませんが、ノジュールを手持ちでハンマーで叩いて、結構うまく割れるようでした。岩石破砕機で圧砕する方が、化石の表面できれいに割れることが多いとの話もあります。

三葉虫ノジュール
http://www.ha.shotoku.ac.jp/~kawa/KYO/gifu-cst/treasure/trilo/index.html

小学生向け学習教室「三葉虫を調べよう」におけるモロッコ産三葉虫ノジュールの活用 : 岐阜大学公開講座における実践 (2014)
http://hdl.handle.net/20.500.12099/50447


7日(土)から信州新町化石博物館「生誕140周年 博物学者 八木貞助展」とのこと。
蔵書コレクションがどこかにあるらしいと聞いたことがあるのですが、場所や目録についても分かると嬉しいです。
http://www.ngn.janis.or.jp/%7Eshinmachi-museum/fossil_mus/fos-mus.html
https://www.city.nagano.nagano.jp/museum/other/lecture.html