上田城 真田神社の社号標(太郎山の流紋岩 柱状節理) |
『上田市誌 自然編 資料』1頁より |
『上田市誌 自然編 資料』(2002)に岩石・埋もれ木の絶対年代測定の資料が載っていますが、どの石のことかわからないものもあって、試料の詳細情報がほしい感じです。室賀の貫入岩(ひん岩)は青っぽいものや真っ黒なものを見たことがあります。「窪尻橋西方約300m地点」も少し曖昧で、輝石安山岩ではなくデイサイトとしている資料を見たこともあります。どれが本当?
変質した岩石が多く、その影響もあり得ると思うのですが、説明を見たことはありません。
(複数試料・複数方法の測定が無く、バラツキ等が不明だと、これらの測定結果も、考察・仮説も相当に不確実…)
ちなみに、太郎山「天狗岩」流紋岩(940万年±50万年(990~890万年前))というのは「六方石」「天狗石」などとも呼ばれる柱状節理の岩石です。先日、第5回真田塾講座「上田城に真田昌幸が造った石垣は残っているか?」(2019.3.2)のビデオを見せて頂きました。上田城の石垣には太郎山の緑色凝灰岩や千曲川などの河原石が多く使われていますが、本丸西虎口石垣の解体修復工事の際に、石材に六方石が含まれていたそうです。(数量はわかりません。)
平成30年度トピックス 第5回真田塾
https://www.city.ueda.nagano.jp/sanadat/documents/topics/30topics.html
資料「上田-15」(上田原層?)の「年代値(B.P) >50,000」が5万年以上前という意味だとすると、『上田市誌 自然編 上田の地質と土壌』101頁の「ここから出た炭化木の年代測定が行われ,約28000年前と報告されています。」という記述と合わないように思うのですが、どうなのでしょう…
『上田市誌 自然編 資料』(平成14 2002) 1頁より
1. 上田市各地岩石・埋もれ木の絶対年代測定結果
① カリウム・アルゴン(K・Ar)年代測定結果
資料名 年代値(Ma) 40Ar(scc/gm×105) %40Ar %K 採取場所および岩体・岩石名 分析年
上田-1 0.9±0.3 0.002(2) 0.002(5) 8.4 8.7 0.71 0.70 神科「虚空蔵山」通称とんび岩 輝石安山岩 1997
上田-2 9.4±0.5 0.068 0.066 36.7 40.4 1.84 1.83 太郎山「天狗岩」 流紋岩 1997
上田-3 6.9±1.9 0.029 0.031 10.4 10.0 1.11 1.11 別所温泉柏屋別館南方の採石場跡 ひん岩 1997
上田-4 6.5±1.7 0.005(7) 0.005(4) 13.6 10.2 0.22 0.22 上室賀貫入岩 ひん岩 1997
上田-5 5.8±0.3 0.036 0.036 60.9 64.2 1.59 1.59 半過「岩鼻」 角閃石石英ひん岩 1997
上田-6 8.2±0.4 0.050 0.050 55.7 52.1 1.57 1.57 水産研究所北千曲川河床 角閃石石英安山岩 1997
上田-7 7.2±0.4 0.081 0.078 44.7 41.4 2.83 2.82 前山212-1地籍温泉試掘コア地下1100m 石英安山岩 1997
上田-8 9.9±0.5 0.107 0.112 65.9 65.9 2.84 2.84 林道沢山線窪尻橋西方約300m地点 輝石安山岩 1997
THLEDYNE BROWN ENGINEERING社(アメリカニュージャージ州)分析 テレダインジャパン株式会社扱
② 14C年代測定結果
資料名 -δ14C 年代値(B.P) 採取場所および地層名・試料名 分析年
上田-12 >993 >39,900 産川「薬師橋」下 新期上小湖成層 埋もれ木 1997
-δ13C
上田-13 -25.6 56,020±3,140 室賀川 新期上小湖成層 埋もれ木 1997
上田-14 -23.4 51,840±2,050 八木沢 新期上小湖成層 埋もれ木 1997
上田-15 -27.5±0.2 >50,000 小牧橋下流千曲川左岸 上田原層 埋もれ木 1999
THLEDYNE BROWN ENGINEERING社(アメリカニュージャージ州)分析
③ フィッション・トラック年代測定結果 1999年 株式会社京都フィッション・トラック分析
資料名 採取場所・岩石 (1) 測定鉱物 結晶数(個) 自発核分裂片飛跡 ρs (Ns) (cm-2) 誘発核分裂飛跡 ρi (Ni) (cm-2) (2)x2検定 P(x2) (%) (3,4)熱中性子線量 ρd (Nd) (×104cm-2) (5)相関係数 r ウラン濃度(ppm) (6,7,8,9) 年代値(Ma) Age±1σ (10) 測定方法
上田-9 市民の森北方 石英安山岩 Zr 30 1.22×104( 4) 6.41×105( 211) 40 7.766(2386) -0.004 70 0.6±0.3 ED2
上田-10 丸子町梨平大沢 輝石安山岩 Zr 30 5.63×106(125) 3.18×106( 706) 19 7.766(2386) 0.773 330 5.1±0.5 ED2
上田-11 丸子町茂沢 溶結凝灰岩 Zr 30 6.03×105(306) 4.22×106(2142) 22 7.766(2386) 0.837 440 4.1±0.3 ED2
(1) 測定鉱物 Zr:ジルコン, Ap:アパタイト, Sp:スフェーン
(2) P(x2):x2値の自由度n-1のx2の分布における上側確率(Galbraith, 1981)
(3) 熱中性子線量測定用標準ガラス:NBS-SRM612
(4) 照射場所:立教大学原子炉 TRIGA MARK II 回転試料棚
(5) r:ρsとρiの相関係数
(6) 年代値:T=ln(1+λD・ζ・ρd・ρs/ρi)/λD(ED1はρs*1/2)
(7) 誤 差:σt=T*[1/ΣNs+1/ΣNi+1/ΣNd+(σζ/ζ)2] 1/2
(8) 238Uの全壊変定数:λD=1.480×10-10/yr
(9) ζED1=370±4 ; ζED2=372±5(Danhara et al., 1991)
(10) 測定方法:外部デイテクター法(内部面:ED1, 外部面:ED2)
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