2020年8月14日金曜日

安曽岡山の櫃石の謎

櫃石(信濃国小県郡年表 26頁)
櫃石(『信濃国小県郡年表』26頁より)

櫃石(ひついし?)は『信濃国小県郡年表』にある石で、他の資料では見たことはありません。約5.4m x 5.4m x 10.8m という大岩。この付近には水平方向の柱状節理の露頭もあるので、それを「巨大な小袖櫃」に見立てたのでしょうか?

上野尚志(1811-1884)『信濃国小県郡年表』(活字本 26頁)
安曾(中略)爰等里人談に柳沢山の中腹に塩田氏の臣安曾(一作浅岡)甚太夫の城跡あり、二つの石塔存す云々。又云、備場とて棚の如き石垣段々あり其下の野に巾三間余長二三丁の堀切あり尤も城は小さし。其鬼門に諏訪明神あり、安曾の社と号す。此山に櫃石とて白き高さ横とも三間余長さ六間余四面削りたる如く小袖櫃に似たるあり。(以下略)


例えば、単位が間(約1.8m)ではなく尺(約30cm)とすると、約90cm x 90cm x 180cm で小袖櫃に近くはなりますが、わかりません…
どんな本でも誤りは大抵あって、原書を確認したら誤記や誤写が見つかって、考察が無駄になった、なんてことも。(例えば『五無斎保科百助全集』の「十二の人」の考察とか)
原書画像や正誤情報の優先順位は比較的高いと思うのですが、『年表』再復刻のときはあまり話題にならなかったようで、ちょっと残念…
(「備場」は「槍立場」(『ふるさと塩田 村々の歴史』石神)と同じ場所でしょうか。元々は曲輪とか建物跡の可能性が高いと思いますが、芳沢の東に「高山」があるので、地名は鷹狩りとも関係があるのかも。)

ちなみに、国立国会図書館のデジタル化資料に『信濃国小県郡年表』(活字本)は無いようです。『小県郡史』はありますが、『余篇』はインターネット公開で、『(本篇)』は図書館送信資料。(図書館送信資料は、全国の特定の図書館・大学等でインターネット閲覧ができるもので、一般の人も一応利用可能。)
著作権保護期間が終了するか、著者・編者が公開を許諾して手続きが行われれば、インターネット公開になるわけですが、著作権以外にも個人情報とか文化財・自然保護等の問題もあって、簡単ではないのでしょうか…
『五無斎保科百助全集』は図書館送信資料、『五無斎保科百助評伝』は未デジタル化のようです。

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