2026年2月28日土曜日

一つ火と上田郷友会月報

山口鬼火實撿ノ顛末(明治19年)
山口鬼火實撿ノ顛末(明治19年)


明治19年(1886)11月『上田郷友会月報』「山口鬼火實撿ノ顛末」は、勝俣英吉郎(1865-1930)が学生時代、友人から鬼火の伝承について聞かれ、「彼ノ中小ノ學、嘖々タル其名ト唯ニ校舎ノ壮觀ニヨリテ之レヲ得タルカ」と煽られて、夏休みに観察した、というレポートです。
結果は人家の灯火で、感想は「要スルニ余カ今囘ノ成績ハ大ニ自他意想ノ外ニ出テタルヲ驚カズンバアラス今ヤ理化ノ學何ノ處ニカ用ヰン嗚呼三日ノ試驗皆是古人ノ輕々ニ行ヒ得可カリシモノナラントハ書キ終リテ浩嘆之レヲ久フス」

この件が人々に記憶されて、「上田地方には、山口の一つ火を、「迷信と宗教」(井上圓了博士)のいふやうに、狐狸の所為と思つてゐるものは一人もない」(藤沢衛彦編『日本伝説叢書 信濃の巻』大正6 1917)と言われたのかも…

こういう話を伝承することにも意味はあるのではないでしょうか。


『上田郷友会月報 明治19年11月』(1886)
○論説
 山口鬼火實撿ノ顛末 勝俣英吉郎述
去歳客アリ問フテ曰ク聞ク子カ郷ニ鬼火ナルモノアリト果シテ之
レアルヤ否曰ク有リ曰ク鬼火ノ竒怪ナル之レヲ傳フル久シ郷人既
ニ之レヲ實見セルモノアリヤ曰ク竒説百出シテ未タ實見ノ説アラ
ズ曰ク子カ郷ハ文化盛ニ行ハレテ教育日ニ舉リ夙ニ中學ノ設ケア
リ學士又林ヲナセリト聞ク然ルニ獨リ此ノ鬼火ノ事ニ至リテ未マ
ダ實見ノ説ナキハ何ゾヤ曰ク然リ、然レトモ人各其職アリ焦眉ノ急
ニアラスシテ手ヲ餘事ニ下タスモノ稀レナルハ世情ノ常ナリ何ソ
獨リ我ガ郷先生ノミノ咎ナランヤ曰ク然ラハ子ハ京ニ在ル數年、
理化ノ學、之レヲ學バストナス能ハズ然ルニ子ニシテ之レヲ實見
スルノ勇ナキハ何ゾヤ曰ク余モ亦此ノ研究ニ志ス年アリ而シテ未タ
之レヲ果タスノ機會ナカリシノミ曰ク鳴呼々々子何爲レソ此言ア
ルヤ今ヤ理學ノ研究漸ク深逺ニシテ宇宙洪漢ノ間ニ其力ヲ逞フセ
リ之レヲ以テ後進ノ學者、自已ガ研究ノ餘地ナキニ困シミ幾萬里
ノ波濤ヲ越ヘテ辛酸ヲ異郷ノ深山幽谷ニ甞メ貴重ノ生命ヲ以テ理
學ノ犠牲トナスニ非ラスヤ然ルニ郊外里許ヲ出テザルノ地ニ數百
年来疑惑ノ解ケザルモノアルヲ知リ看々之レガ實見ニ躊躇スル、
何ゾ夫レ無勇ノ甚シキヤ子ハ漫ニ罪ヲ機會ナキニ移シテ恬乎タリ
余レ其評スペキ言ヲ知ラス將タ又理化ノ脩學甚タ淺薄ニシテ之レ
ガ研究ニ堪へザルニ由ルカ然ラハ彼ノ中小ノ學、嘖々タル其名ト
唯ニ校舎ノ壮觀ニヨリテ之レヲ得タルカ余ハ稍之レヲ疑ハサルヲ
得ズト、余遂ニ一言ナシ、今玆八月暑季休暇ニ際シテ郷ニ歸リ乃ハ
チ之レヲ實撿シテ左ノ成績ヲ得タリ由テ序スルニ客言ヲ以テス然
レトモ余ハ更ニ客ニ之レヲ示見スルヲ憚カラサルヲ得サルモノアリ
何ゾヤ他ナシ其成績ノ甚タ意外ニシテ先輩ノ意見ニ反スレパナリ
否我ガ數百年来ノ暗愚ト無稽トヲ曝露セサルベカラザレバナリ
   明治十九年八月    稿者識ス
(以下略)

2026年1月30日金曜日

厩山、魔山

天正六年二月上諏訪造宮帳より
魔山郷(左から3行目。茅野市「守矢史料館企画展の史料について」より)

干支に因んだ話題… 塩田の前山は中世に小規模な牧場があって、厩山(まいやま)と呼ばれていたのが、後に前山と書かれるようになったのではないか、という仮説です。
平安時代、手塚氏か塩田氏が経営していて、木曽義仲と共に滅亡、生き残った人達も離散して牧場は消滅…
南は山、北と西は川があるので、主に東側に柵や施設を設置していたのではないか…
厩山の表記は長く残って、「天正六年二月 上諏訪造宮帳」(1578)に「三御柱 小縣郡 塩田拾二郷 ~ 魔山郷」とあるのは、「厩山」を誤読・誤写したのではないか…

信濃史料 巻十四(3)
https://adeac.jp/npmh/catalog/mp000014
https://adeac.jp/npmh/viewer/mp000014/1403/?pagecode=75

茅野市八ヶ岳総合博物館 アーカイブ
守矢史料館企画展の史料について
https://www.city.chino.lg.jp/site/y-hakubutsukan-archive/kiyo-jinbunrekishi.html


2025年12月31日水曜日

ペーパークラフトの改良

柱状節理のペーパークラフト
柱状節理のペーパークラフト

以前作った柱状節理のペーパーモデルを改良してみました。と言っても、ケースをマッチ箱型から蓋付きに変えただけですが。これまでは、ケースから出して、遊んで、ケースに入れる、という使い方でしたが、蓋付きケースなら、蓋の方で並べて、戻すときはそのまま下のケースを被せるだけでいいので簡単、ということを急に思い付きました。
作ってみると、確かに簡単になって良い感じ。
ところが、ケースを片付けようと持ち上げたとき、蓋だけ持ってしまい、下のケースを倒して中身をこぼしてしまいました。マッチ箱型では起きなかったことで、この扱いにくさは大きなマイナス。
もう少し考えてみます。


光さす雪の郡の煙かな
年神の魚も見るや冬銀河
泣き叫ぶ子等にも年は改まり

ほろ酔いて福神過ぐる宿の門
古家にて屠蘇を勧むる声聞けり
初業の鬼や神仏食らいおり

2025年11月28日金曜日

コレクションと研究、2つの好奇心

野倉民俗資料館にある(あった?)魚化石
野倉民俗資料館にある(あった?)魚化石(丸子町誌自然編 P71)

川原の小石標本
川原の小石標本(例えば10種を5回集めて仮分類してみたり)


UCVレポートで塩田西小学校の石研究会の話題がありました。
内容はこれから考えるそうで、色々試してみるのかも。

もしプレゼンテーション要素を加えてもらえるなら周りは楽しいです…
例えば、お気に入りの石を持ち寄って紹介をしていたので、その延長で、石コレクションのミニ企画展のような展示を作ってみるとか。学校の中で展示して感想や質問を書いてもらったり、公共施設や他の学校へ巡回したり。
地域内外でミニ博物展示の交換をするような活動があったら(周りは)楽しいかも…

石コレクションのテーマは自由で、身近な所では、地元の石とか、学校(新旧)の理科標本の紹介とか。
塩田中学校の保科百助の長野県地学標本(東塩田小と中塩田小にあったもの)、野倉民俗資料館の岩石鉱物化石標本、上田創造館の鉱物・岩石・化石展示室の紹介とか。

(コレクションと研究は重なる部分もありますが、対立する部分もあります…… 地味にゆっくり楽しむのも良いのかも……)

川原の石ころ標本
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/36210497
アイスクリーム・コーン・ゾンビ?
https://kengaku2.blogspot.com/2025/10/blog-post.html


2025年10月29日水曜日

アイスクリーム・コーン・ゾンビ?

棲管化石
アイスクリームコーン・ワームの棲管の化石?
(UCVレポート2025.7.29 より)

夏休み中の化石探し体験(塩田公民館 2025.7.29)を伝えるUCVレポートで、角笛形の棲管化石が紹介されていました。
上田市付近では多く見つかる化石ですが、詳細はたぶんまだよくわかっていません。
レポートでは、アイスクリームコーン・ワーム(ゴカイ)の化石と紹介していました。
形・大きさにバリエーションがあるのと(管の端の形態など)、似た形の棲管を作る生物が複数いる可能性もあるので、資料が増えれば分類もされるようになるのかも。
ウミイサゴムシ(アイスクリームコーン・ワーム)の仲間の他には、ハオリムシ(チューブ・ワーム)、ホネクイハナムシ(ゾンビ・ワーム)など。

クジラのような大型の動物の化石が見つかると、「豊かな海」と言われることがありますが、実際は、小さな化石が、まばらに見つかるような印象で、生物の豊富さを感じることはあまりないかも… この棲管も、比較的よく見つかるペッカムニシキの貝殻も、とても薄くて、もろいので、採集時にハンマーで強く叩くと、母岩が割れたときには化石は粉々… ということも多いです…


幻のクジラ化石名?
https://kengaku2.blogspot.com/2024/10/blog-post.html
管状の化石
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/34308716
知らない化石
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/6889536
有孔虫と耳石
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/36186312
有孔虫化石
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/35565461

北向観音の由緒と古文書の謎
https://kengaku2.blogspot.com/2025/09/blog-post.html