2022年8月28日日曜日

北条重時の和歌

北条重時(菱川師宣画『武家百人一首』1672)
北条重時(菱川師宣画『武家百人一首』1672)

「鎌倉殿の13人」比企の変の回に北条朝時、重時がちょっと出ていました。(もし比企の内紛に北条が介入した事件だとすれば、姫の前と子供達(北条分家)が反能員派に担がれた可能性もある? 畠山重忠の乱も似た構図?)
菱川師宣画『武家百人一首』の重時は若々しい感じ。恋の歌のせいかもしれませんが。

北条重時の勅撰集入集は16歌(10集)
政村40 宣時37 等ほどではないですが北条氏の中では多い方。(たぶん10位以内)
ちなみに北条義政は9歌(7集)
(北条氏等の有力御家人の和歌は、個人の趣味と言うより、公務に近かったのでは。現代的に見える歌でも実際は当時の流儀、定番に沿ったものかも…)

異種百人一首
『武家百人一首』(菱川吉兵衞(師宣)画 寛文12 1672)
https://trc-adeac.trc.co.jp/Html/Home/1171055100/topg/2ishu.html

(玉葉和歌集 巻第十 恋歌二)
夜恋の心を 平重時朝臣
おもひあれは たのめぬ 夜半も ねられぬを まつとや人の よそに見るらむ

恋の歌也 思ひせつなるまゝ ふしておもひ おきて思ひ きみかこんとたのめぬよはもいねられぬ 人をまつやうに よそめには見るらんといへり


中川博夫「鎌倉期関東歌壇の和歌 -中世和歌表現史試論-」(2014)
https://doi.org/10.24604/chusei.59_15
(注に執権・連署の勅撰集入集数がありました。執権・連署以外は 資時22 等)
政村40 宣時37 宗宣27 貞時25 泰時21(22?) 重時16 時村14 長時12(重出1) 維貞11 義政9 熈時4


新千載和歌集(1359)にある、重時の子が生まれたときの隆弁と重時の歌。(年は不明のようです。)
南北朝時代の勅撰集で、2代将軍足利義詮の父尊氏と母(正室)赤橋登子は二人とも重時の玄孫という血筋。
北条重時の子孫繁栄は足利将軍家の慶賀でもある、という感覚も、もしかしたらあったのかも。

新千載和歌集(1359) 巻第二十 慶賀歌
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2562662/97
  平重時朝臣子うませ侍ける七夜によみてつかはしける 前大僧正隆弁
千とせまて行末とをき鶴の子を そたてゝも猶君そみるへき
  返し 平重時朝臣
千とせともかきらぬ物を鶴の子の 猶鶴の子の数をしらねは


新勅撰和歌集(1235)にある、北条義時(1163-1224)死去後の北条泰時と蓮生法師の歌。
承久の乱(1221)後の雰囲気。

新勅撰和歌集(1235) 巻第十八 雑歌三
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2579154/81
  父みまかりての後 月あかく侍ける夜 蓮生法師か本につかはしける 平泰時
山のはに かくれし人は 見えもせて 入にし月は めくりきにけり
  返し 蓮生法師
かくれにし 人の形見は 月をみよ こゝろの外に すめる影かは


北条国時、北条時春の勅撰集和歌
https://kengaku2.blogspot.com/2024/06/blog-post_24.html
両参りと片参りの謎(北向観音、善光寺)
https://kengaku2.blogspot.com/2022/03/blog-post.html
義仲願状、三島社
https://kengaku2.blogspot.com/2022/02/blog-post.html
義仲・鎌倉 Year
https://kengaku2.blogspot.com/2022/01/year.html
鎌倉殿と信州上田
https://kengaku2.blogspot.com/2021/12/blog-post.html
Japan Heritage fake ley line
https://kengaku2.blogspot.com/2022/02/japan-heritage-fake-ley-line.html


2022年8月3日水曜日

著作者情報の調査(自由研究)

飯島茂経 村松清蔭 田口信太郎『上田唱歌』(明治36)
飯島茂経 村松清蔭 田口信太郎『上田唱歌』(明治36)

身近な歴史の勉強になり、ささやかな社会貢献にもなるかもしれない、というテーマ。

国立国会図書館 著作者情報 公開調査
https://dl.ndl.go.jp/
https://openinq.dl.ndl.go.jp/search

約47,000件。地名を含むデータもあって、アバウトでも地域別に分類できたら調査の可能性が向上するのかも。
試しに"長野県"で抽出したら474件、上田市の旧町村名で約40件。(約1%、0.1%)

テキストファイルがUTF-8のようで Windows のコマンドで不成功だったので busybox.exe の grep で抽出しました。キーワード(長野県 とか)もUTF-8のファイルで作成。
busybox.exe grep -f key1.txt chosakusha.txt > nagano.txt
busybox.exe grep -f key2.txt nagano.txt > ueda.txt

有名な人は生没年以外の事績等を調べてみても良いかと。

※人名と地名が関係しないものもあります。
村松今朝太郎(清陰) 旧川中島町出身 長野案内(明40.9)
保科柳太郎 上田町 郵吏必携現行書式文例類纂(明21.4)
飯島孝三郎 上田町 郵吏必携現行書式文例類纂(閲)(明21.4)
小林又一郎 上田町 度量衡法規(明31.5)
樋口谷五郎 上田町 楽譜(明32.7)
野津天籟(左馬之助? 1867-1943) 出雲出身? 最近世界大勢史摘要(明35.4 明35.8)
宮下智三郎(?-1968) 上田町 蚕児飼育宝巻(明37.8)
和田源一郎 上田町天神町 模範的蚕児飼育法(大正3)
西沢庄太郎 上田町 大正式会計整理法独案内(大正4)
宮川新兵衛 上田町 外国系交雑蚕児の飼育に就て(大正7)
遠藤自川(善五郎 ?-1769) 福島県伊達市 養蚕秘書(序)(宝暦7 1757)
原直道   塩尻村 訂正養蚕秘書(跋)(明27.2)
藤文川   塩尻村 訂正養蚕秘書(書)(明27.2)   
馬場弥平次 塩尻村 蚕業指法(明21.5)
母袋茂助  塩尻村 養蚕鑑 : 最新実験(明39.9)
白瀬秋雨  神科村 二葉会歌集 たか嶺(大正3)
深井佳水  神科村 二葉会歌集 たか嶺(大正3)
丸山霽月  神科村 二葉会歌集 たか嶺(大正3)
久保田菫子 神科村 二葉会歌集 たか嶺(大正3)
花井やす子 神科村 二葉会歌集 たか嶺(大正3)
西野入一杉 神科村 二葉会歌集 たか嶺(大正3)
牧内優梨子 神科村 二葉会歌集 たか嶺(大正3)
和田福太郎(楽天) 城下村 新曲信濃琵琶(大正2)
上原武十郎  川辺村  養蚕小論(明30.9)
百瀬清吉   泉田村  霜害予知研究談(明21.5)
横関式左衛門 下之郷  養蚕実行録(明21.8)
宮入善吾   東塩田村 節高病蚕論(明26.6)
横関次郎兵衛 東塩田村 節高病蚕論(跋)(明26.6)
曲尾徳太郎  東塩田村 秋蚕致富之基(明28.3)
金沢満次郎  東塩田村 蚕業改良案(明28.6)
横関幸内   東塩田村 微生物学蚕病学講義(記)(明32.9)
宮入良右衛門 東塩田村 経済的育蚕法(明39.4) 少費多穫蚕業革新策(明42.5)
工藤泰治郎  中塩田村中野 養蚕の心得(大正12)
中嶋栄松(万岳) 中塩田村 星よ!!何処へ : 詩集(大正12)
山口謙哉    新潟出身 星よ!!何処へ : 詩集(画)(大正12)
滝沢聟治   平井村  養蚕与志道理条(明21.4)
藤森元(如月) 塩川村  未来の工女 : 教育小説(明42.11)
北沢真武   埴科郡森村 善光寺如来霊験実録(明21.6)
霞庵貞俊   ?     善光寺如来霊験実録(書)(明21.6)