2019年5月2日木曜日

狐玉(きつねったま)

狐玉(きつねったま) キツネ玉
狐玉(きつねったま)

とっこ館で見た、きつね玉(きつねったま)です。青木層の砂岩ノジュールだと思いますが、このタイプを露頭で見たことはまだありません。

安曽神社の鶏石と鶏岩の祟りの話を書きましたが、きつねっ玉にも由来話や祟り話があって、石の名前と一緒にお年寄りから聞いたことがあります。
由来話は名称から連想される素直?なもの。祟りの話は「山の石を持ち出すと山の神が怒る」「川の石には死者の霊が宿るので持ち帰るのは不吉」と言った話のバリエーションでしょうか。
ただし、青木層の砂岩ノジュールの丸石を祀っているのは見たことがなく、祟りの話は他の種類の石(球状節理の火成岩、ポットホールのドリルストーン等)で、多くの神社にある、御霊代石、子産石、イボ取り石などのイメージを重ねているのかも。(伝承の多元性・不整合の一例?)

きつねっ玉の由来話
山の土の中から、砂を固めて作ったような丸い玉が見つかることがある。これは「きつねっ玉」というもので、昔、お稲荷さんのお使いの狐が、いろいろな術をするときに使った玉だそうだ。真ん丸なものは大人の狐の玉で、小さなものや、いびつなものは子供の狐の玉だそうだ。

きつねっ玉のたたりの話
昔、旅人が山道できつねっ玉を見つけて家に持ち帰った。するとその家では、事故や火事など、悪いことが続いて起きた。これは石のたたりに違いないと、見つけた場所に祠を建てて、きつねっ玉をお祀りすると、悪いことは起きなくなった。ところが、その後も、きつねっ玉はいつの間にか外に転がり出ていて、それを持ち帰ってたたりにあう人がいたということだ。


丸石信仰としては少し特異な、怪異寄りの話でしょうか。狐を連想させる色、形に変化があること、比較的軟らかいため野外では風化して、見る機会がそれほど多くはないことなどが影響しているのかも。

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