2020年6月20日土曜日

龍王山、レイライン

龍王山(「西前山雨乞いお礼参り」(UCV)より)
龍王山(「西前山雨乞いお礼参り」(UCV 1990年)より)

龍王山
龍王山(上田市前山)

龍王山 明治頃の絵図
明治頃の絵図(『手塚誌』(2013) 122頁より)

手塚東紺屋村経塚経石と願海の筆跡
手塚東紺屋村経石(上)と願海の筆跡(下)

UCVの「うえだ学のススメ」(2009年)シリーズと「西前山雨乞いお礼参り」(1990年)のビデオ録画を見せて頂きました。
「うえだ学のススメ」は前に見たビデオは4:3だったかも。後半も楽しみです。(トリミングやテロップ位置を調整。左右は現れ上下は切れた部分も)

写真は雨乞いの舞台の龍王山(塩田平)です。中禅寺の山号。ビデオの中では「竜神様」とされていて、竜神様と雷様をお祭りしているそうです。周囲の山と比べて高くはないですが、西側から見ると昔話の紙芝居に出てきそうな、印象的な形をしている山です。
明治頃の絵図にも細長い、ふたこぶの山が描かれていました。ちなみに、この絵図では現在の独鈷山山頂は「タキコヤ」(滝小屋)、現在の弘法山は「トクコ山」(独鈷山)、手前(北側)の峯は「天ヶ嶽」とされています。

信州上田・ 塩田平が日本遺産(現在104件)として認定を受けたそうで、レイライン、龍(龍脈?)と聞くと、古代の天文とか風水とか連想されますが、現在それほど内容があるようでもないので、今後その方向のコンテンツが量産されるのかも。(例えばレイラインのライブカメラとかも。) トップダウンの呼び水でしょうか。
今知名度を上げるのは悪目立ちになるリスクもありますが、それは仕方ないでしょうね…

生島足島神社のレイラインは女神岳付近(別所温泉より南)を通っていて、このライン上で龍と言えば、龍王湧水があり、幕末期に湧水を祈祷で復活させたという、勤皇僧、大行満願海の石碑等の事跡があります。(一応、史実)
手塚のとっこ館とか、王子塚、皇子塚、手塚太郎金刺光盛を祭ったと言われる光盛寺跡(伝承)とかもほぼこのライン。

祝 日本遺産認定 (上田市)
https://www.city.ueda.nagano.jp/soshiki/shogaku/30087.html
上田市行政チャンネル 日本遺産認定に関する記者発表会、他
https://www.youtube.com/channel/UCQUofwdBg7SAspK-jGOIDSw
https://www.youtube.com/watch?v=5v73fi3XhHg
https://www.youtube.com/watch?v=HN0-on8MKxA

真田信之の時代、生島足島神社の諏訪社本殿(県宝)を女神岳の山麓の大木一本で造ったのも、このラインに因んでのことだったのでしょうか?

(※諏訪社本殿(県宝)は上記ウェブサイトの「構成文化財一覧」では「市指定」になっています。文化財名(指定対象?)も微妙な変化があって、「ちがい石の産地」(市指定文化財)に対して「ちがい石とその産地」(日本遺産構成文化財)。「弘法山でしか産出しない」は誤り。蛇骨石の記述も不正確。)

以前の記事です。
諏訪社本殿
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/34846460
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/34896275
願海
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/35825551
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/34587331
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/34589557
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/35002085

とっこ館で願海の梵字幟を展示するそうです。地蔵堂(無量寺)収蔵とのことで、安政4年の地蔵尊開眼(元木の地蔵?)のものでしょうか。
(梵字幟は六度(六波羅蜜)でした。「ダー ナ (檀那 だんな 布施 ふせ) シー / ラ (尸羅 しら 持戒 じかい) クシャーンティ (羼提 せんだい 忍辱 にんにく)」「ビー リャ (毘梨耶 びりや 精進 しょうじん) ヂャー ナ (禅那 ぜんな 禅定 ぜんじょう) ハラ ジニャ (般若 はんにゃ 智慧 ちえ)」「安政四丁巳冬月 大行満願海敬書 シリ―(吉祥天) スラタ(妙適)」)
(旧地蔵堂の経塚も願海の関係? 経石の筆跡が似ています。) 幟は他に「般若心経梵題」一本(「和風常応節 甘雨順時行」と同時期)もあるそうですが見たことはありません。(保存のためには一月の展示は長いのでは… 水物を撒き散らすような事故もあり得ます)
平成24年春季企画展「土に埋める祈り―上田地方の経塚と埋納銭―」
https://museum.umic.jp/kokubunji/museum/event2403.htm

日本遺産ストーリー 子供銀行券 (日本遺産スペシャル)
https://kengaku2.blogspot.com/2020/12/blog-post_31.html
曲がった直線、裸の王様、袈裟供養
https://kengaku2.blogspot.com/2020/11/blog-post_15.html
日本遺産 ストーリーのデパートメント化
https://kengaku2.blogspot.com/2020/11/blog-post_12.html
日本遺産 レイラインの幅
https://kengaku2.blogspot.com/2020/10/blog-post_15.html
新しい鞍が淵伝説
https://kengaku2.blogspot.com/2020/10/blog-post_27.html



2020年6月12日金曜日

牛石と「くつめき」

牛石様・沖(武石村誌 民俗編より)
牛石様・沖(武石村誌 民俗編より)

牛石の表面
牛石の表面

武石の牛石です。白黒写真は『武石村誌 民俗編』(平成元年 1988) 237頁より。
依田川が東へ曲がる所で、南北の交通の左岸側の最短コース上でしょうか。
観察すると安山岩~デイサイト質の火砕流由来の溶結凝灰岩のようでした。数センチ大の黒い岩片を含みます。やや層理があって上が垂直断面でギザギザしている感じ。依田川右岸に立岩の岩壁があり、その付近の岩石かも。黒い粒はたぶん角閃石。(保科百助が立岩で角閃石を採集した記録があります。長野県地学標本等には入っていません。もしかしたら大きめの分離結晶もあるのかも。)

小山真夫『小県郡民譚集』(昭和8 1933)に「此道が県道となつた時牛石を堀出して、道の東側に据へたのに、偶くつむきが流行した、里人は牛石の祟りだとし、之を祭つた。」とありました。「くつむき」は辞書等では見つけられませんでしたが、流行病で、同時期の他の本に「百日咳」ともあるので、「くつめき」と同じだと思います。時期から考えると、スペインかぜ(大正7-9 1918-1920) でしょうか。情報不足で、別の時代・地域の話の翻案の可能性もありますが。
(バイアスから自由になるのは困難なことで、家族に病人がいて絶対に感染を避けたくて強い規制・圧力・隔絶を望む人がいたり、確実さが不明な中で特定の方向性の情報源ばかりを選択してしまう人がいたり…)

沖の牛石
https://museum.umic.jp/map/document/dot106.html
小山真夫『小県民譚集』(昭和8 1933) 牛石
https://sites.google.com/view/uedanominwa/mintanshu
俚言集覧 上巻 (明治32) くつめき
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/991569/394

2020年6月8日月曜日

結晶集合体の模型

柱状結晶 放射状集合のペーパークラフト
柱状結晶 放射状集合のペーパークラフト

柱状・針状結晶の放射状集合を模したペーパークラフトです。結晶形の模型ではなく、放射状集合体がいつも球形というわけでもなく、あまり似ていない模型をさらに簡略化した模型、という程度。
高さはすべて同じ(約14mm)で、頂上の角度(球の中心側)は30度、45度、60度、75度、90度。(反対側は(360-他方の角度)/2)
細長い鋭角な破片は似て見えますが、もう少し工夫が必要でしょうか。(いくつかの組み合わせとか、母岩付きとか)
以下は75度の展開図(svg)です。(印刷時に角がわかるように補助線を入れています。)


以下は javascript(ソース)の例です。svg_hexagonal_pyramid_01 は高さ指定。svg_bipyramid01 は角度指定(n2i 0:下側、1:上側(球冠)、n2は球冠の分割数)   stl_bipyramid2 はSTL作成用です。


沸石類の塊り(蛇骨石)は子供たちにはそれほど人気はなくて、汚れた白い石、断面はきれい、というような印象のようです。その通りですが…   見慣れると、それこそが本物で、そうでなければ(好評価だったとしても)ウソのような気がしてくるのは、味覚の慣れのようなものでしょうか。

2020年6月7日日曜日

高温石英の模型

変形した高温石英(ペーパークラフト)
変形した高温石英(ペーパークラフト)

流紋岩中の変形した高温石英のペーパークラフトです。六角錐の頂上頂点の座標を [0.6, 0.6, 0.7] (六角錐底面の1辺の長さが1のとき)にしてみました。(模型の大きさは約10mm。実物は約7mm。底面の六角形も変形しているようで、実物の方が細く見えます。)
以下、展開図(svg)です。


以下は六角両錐の上半分と下半分(反転)の展開図を作成するjavascript(ソース)です。
水晶の柱面と主な錐面の角度は約38度(r面)とのことで、六角錐の部分の高さは tan(38.2167)/sin(60)≒ 1.09986 (六角形の1辺の長さが1のとき) また、頂上での一番広い頂点間の角度は atan(1/1.09986)*2≒84.555
高温石英も同程度であれば、頂上の座標を [0, 0, 1.09986] にすると変形前の形になります。
stl_hexagonal_bipyramid()はSTL作成用です。六角両錐の面はすべて三角形なので簡単。実物標本に似た図形をパソコンで作成してみるという小実習(展開図をお土産)も面白いかも。

六角両錐の全体の高さを下半分の斜辺の長さと同じにすると、球扇体(呼び方は球面扇形、球扇錐体、等で正式な名称・定義は知りません。頂上頂点が球の中心で、底面が平面ではなく球面の一部であるような円錐体。円錐+球冠)に似た形になります。それで柱状結晶の放射状集合体(例えば中沸石、灰沸石の塊り)に似せた模型を作ったことがあります。

魅力アップと情報発信の反比例
https://kengaku2.blogspot.com/2022/04/blog-post.html
箱入り模型
https://kengaku2.blogspot.com/2020/05/blog-post_24.html
石の模型
https://kengaku2.blogspot.com/2020/04/blog-post_21.html