2022年7月14日木曜日

ウィーン万国博覧会(明治6年)の地学標本

WIEN CATALOGUE DER KAISERLICH JAPANISCHEN AUSTELLUNG
『WIEN CATALOGUE DER KAISERLICH JAPANISCHEN AUSTELLUNG』(1873)より


ウィーン万国博覧会(1873)の資料はいろいろ残っていますが、まだよくわからないこともたくさん。

原田準平「明治以後の鉱物学界」(地学雑誌 vol.63 1954)
https://doi.org/10.5026/jgeography.63.3_166
明治6年(1873)オーストリアのウィーンで万国博覧会が開かれた際,わが国の政府はこれに賛同し,全力をあげてわが国からの出品をさかんにした。当時政府は各府県に命じて,各府県に産する鉱物を蒐集し,その一部をウィーンに送り,一部は東京に保存し,後にこれを博物局に保蔵した。これはわが国における鉱物蒐集の嚆矢であつたが,その標本の多くは鉱石であり,学術上の価値のあるものは少なかつた。ウィーンに出品したものは,オーストリアの専門家にその研究を依頼したが,その研究の結果は同博覧会の報告のなかに発表された。本邦に保存されたものについては,和田が修学中,それを研究させられた。これは本邦産鉱物の学術研究の濫觴である。


『澳国博覧会出品目録』(東京国立博物館 所蔵)
博覧会のための蒐集品の目録(出展品ではなく)
原典画像の公開等はない?

『ウィーン万国博覧会 日本帝国出品目録』(1873) ※博覧会出展品の目録?
(WIEN CATALOGUE DER KAISERLICH JAPANISCHEN AUSTELLUNG)
https://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0080769

『WIEN CATALOGUE~』の Shinano(信濃国)の地学標本(12種 15標本)
 No   Gegenstand (※和名は推測)
 34   Braunkohle 褐炭
 51   Bergtheer 石脳油(原油?)
 54   Schwefel. 硫黄
 60   Schwefel. 硫黄
 86-87 Bergkrystall 水晶
 88 B Rother Eisenkiesel 赤い鉄石(鉄石英?)
 90 B Achate 瑪瑙(アゲート)
 98   Damolit ドロマイト
102-103 Asbest アスベスト
180   Eisenkieskrystalle 黄鉄鉱結晶?
192   Magnet-Eisensand 砂鉄
201   Magnet-Eisenerze 磁鉄鉱石?
299   Silbererz 銀鉱石?

産地は旧国名(ローマ字表記)だけで、具体的にはわかりません。
鉱物・岩石の名称も当時のもので、調べるのはなかなか大変…

『WIEN CATALOGUE~』は日本で外国人指導下で作成したものでしょうか?
「オーストリアの専門家にその研究を依頼した」結果も含まれている? それはまた別?


両参りと片参りの謎(北向観音、善光寺)
https://kengaku2.blogspot.com/2022/03/blog-post.html
義仲願状、三島社
https://kengaku2.blogspot.com/2022/02/blog-post.html
義仲・鎌倉 Year
https://kengaku2.blogspot.com/2022/01/year.html
鎌倉殿と信州上田
https://kengaku2.blogspot.com/2021/12/blog-post.html
Japan Heritage fake ley line
https://kengaku2.blogspot.com/2022/02/japan-heritage-fake-ley-line.html

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。