2020年10月30日金曜日

日本遺産と塩田平札所めぐり

塩田平のため池群と札所めぐり(旧版?)
塩田平のため池群と札所めぐり(旧版?)

先日見た観光ガイドブックの最後に「塩田平札所めぐり」が載っていましたが、そういえば、日本遺産の構成文化財一覧にはありませんでした。
元禄6年(1693)開創で、廃れて再興後(今も?)改訂しているようですが、民俗文化財と言っても良いのではないかと。(指定すると変更しにくくなる?)
霊的な聖地をPRする地域には、ぴったりの観光向きのコンテンツのような…
本格的巡礼体験コースとか、別所線・バス利用のカジュアル・分散的な小コースに分割して別の季節にリピートしてもらうとか。弘法山三十三観音めぐり、ため池、風穴、山城めぐり等、追加提案もしやすいのではないかと。

※追記: 11月末(令和2)にツアーイベントがあるそうです。(県内中心 20名 3万円)
日本遺産認定、寿ぐ札所巡り 上田の有志「会」設立、企画第1弾
https://www.hokurikushinkansen-navi.jp/pc/news/article.php?id=NEWS0000025751
◆上田市の「日本遺産認定」をきっかけ「地域の魅力を再発見するツアー」を、有志の「日本遺産認定を寿ぐ会」が企画!参加者募集中! 29日と30日の1泊2日、塩田平、別所温泉の「札所めぐり 健幸ウォーク」!
https://shinshu.fm/MHz/22.56/archives/0000608975.html

祝 日本遺産認定 (上田市)
https://www.city.ueda.nagano.jp/soshiki/shogaku/30087.html
ニッポンの霊場
https://nippon-reijo.jimdofree.com/
塩田平のため池群と札所めぐり(ガイドマップ 旧版?)
http://www.shiodanosato.jp/2013/05/post-485.php
塩田平札所めぐり
http://www.bessho-spa.jp/fudasho/
上田の日本遺産 ガイドブックに
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20201014/KT201006GKI090015000.php


日本遺産ストーリー 子供銀行券 (日本遺産スペシャル)
https://kengaku2.blogspot.com/2020/12/blog-post_31.html
新しい鞍が淵伝説
https://kengaku2.blogspot.com/2020/10/blog-post_27.html

2020年10月27日火曜日

新しい鞍が淵伝説

鞍が淵の案内板(上田市行政チャンネルより)
鞍が淵の現地案内板(上田市行政チャンネルより)

鞍が淵付近の川(上田市行政チャンネルより)
鞍が淵付近の川(上田市行政チャンネルより)

蛇骨石(母龍と小太郎)
蛇骨石(母龍と小太郎 写真幅約5cm)

(※冬は路面凍結・落石の箇所が多く、自動車は危険。通行止めでなくても)

上田市行政チャンネルの動画で、小泉小太郎・蛇骨石の話がありましたが、これまでの鞍が淵伝説とは異なる伝説が紹介されていました。
日本遺産ストーリーに合わせて、伝承も都合良く上書きされて行くのでしょうか…

動画中の「龍の子太郎ではお母さんは龍ではなく大蛇なんだけどね」は「小泉小太郎では~」の誤り? 龍の子太郎の母親は龍(元は人)。小泉小太郎の母親は犀龍や大蛇。(女神が蛇の姿になって出産する神話による?)

小泉小太郎と母龍が(松本で)湖を壊すという話は、瀬川拓男・松谷みよ子『信濃の民話』(1957)にある話で、各地の伝説を合わせて作った創作民話です。それを基に影絵芝居や紙芝居が作られました。
この創作民話には産川・蛇骨石の由来話は含まれていませんが、今回の上田市の動画ではそれが(新たに?)追加されていました。
蛇骨石は大蛇が岩に体を打ち付けて割った石、という話で(鞍が淵上流に湖があって、水を流すために岩に体を打ち付けて骨が埋め込まれた?)、出典はわかりません。
出典が示されないなら、この新しい伝説は、今回の日本遺産認定に合わせて捏造されたもの、と確定して良いでしょうか?(魅力アップと地域文化の尊重とを両立することはできないでしょうか? 日本遺産は創作推奨? 偽装不問?)
干ばつ地域にとって上流に湖があればそれは命綱の水源です。だから沢山池を造ったのでは? 湖を壊され、下流は大洪水。つまり大迷惑の大破壊。そんなことも想像できないほど、昔の人は脳内お花畑だった?

現代の創作であっても、出版物等に書かれると、地域外の人はそれを本物と思い込んで拡散し、地元でも実情に合わない偽物の伝承を信じるようになります。「古くからの伝承」には外部から繰り返し書き換えられてきたものも多くあるのかも…

捏造体質の地域振興は、選挙でたとえるなら、候補者のために誇大宣伝をして、嘘がばれて逆に評判を落とす、という困った支援者のようなもの…

鞍が淵(現地案内板と同様の伝説)
http://db.umic.jp/johogura/datadisp.php?arg_sano=2064006

行ちゃんと辿る日本遺産のストーリー②「龍と生きるまち」
https://www.youtube.com/watch?v=Hmr-cLXjSIk

ホームページ作品のご紹介 電子紙芝居「小泉小太郎物語」
https://museum.umic.jp/sakuhin/responsive/web.html
https://museum.umic.jp/kotaro/kaisetsu.htm


電子紙芝居「小泉小太郎物語」の解説に「原作では、村人達は湖の水が流れ出してその後に、広い田畑が出きる事を一番願っていたが、塩田の子どもたちはそれより水不足に苦しむ、農民の水への願望を強く打ち出すよう、自分達の土地の言葉でせりふを作った。」とありました。
実情に合わない部分が修正される一例でしょうか。ただし、文字化された話は柔軟には変化できないので、部分的な修正は不整合になることがあります。この紙芝居も、干ばつ時に川(犀川)ができて大水が出たという話にとどまり、その後の(塩田平などの)水不足解消に繋がる話はありません。人々の願いとストーリーの結末との関係は曖昧で、それは今回の新しい鞍が淵伝説でも同じ。

実は元々の鞍が淵伝説にも同類の不自然な点があります。蛇、僧、川が登場するのに、神仏や雨乞い等の信仰に関係する内容が全く無いのです。水の伝承の多い地域に流布して時間が経てば、信仰に関する内容が付加される方が自然です。それが無いということは、(農業と直接的関係のない)特定の場所で発生し、短時間で(流布する前に)文字化・固定化されたのかもしれません。

江戸時代には家伝薬の宣伝で伝説を利用することがあったようです。例えば別所温泉の当時のガイドブック『信濃国小県郡出浦郷別所七久里温泉並名所畧記』(弘化年間?)では、北向観音・別所温泉の縁起の中に「北斗丸」「七久里膏」という家伝薬の由緒が組み込まれています。
蛇骨石は傷薬と言われているので(手塚村誌等)、根拠はありませんが、鞍が淵伝説は家伝薬・民間薬の由緒が始まりという可能性も。

蛇骨石の鉱物について
・本草学の蛇骨は、主に珪華です。石灰華なども蛇骨と言われることがあるようです。(独鈷山の蛇骨石は珪華ではありませんが、同様に傷薬と言われました。)
・独鈷山の蛇骨石は沸石等の白い鉱物の塊りです。上田市誌等で簡略に灰沸石とだけ説明していることがありますが、他の鉱物であったり、複数の鉱物を含むことが普通にあります。
・よく見かける放射状柱状結晶の鉱物は、中沸石や灰沸石の報告があります。見た目で見分けるのは難しいです。
・曹達沸石・中沸石・灰沸石の区別が明確になったのは戦後のことで、古い資料では「曹達沸石の部類」(明治31年 神保小虎)や、単に「曹達沸石」と書かれていることがあります。トムソン沸石とされたこともあります。(明治24年 帝国博物館天産部金石岩石及化石標本目録)

『広報うえだ 2020年10月号』39頁に「産川(小太郎が大蛇である母から生まれた川)や、鞍が淵と蛇骨石(大蛇の住いと蛇の骨のような石)からは、口伝だけでなく、川や石の名前にして、伝説を永く伝えていこうとする思いを感じることができます。」とありますが、逆(名称が先で伝説が後)もあり得ます。伝説が先だとすると「蛇のお産」を淵や場所ではなく川の名前にする理由が不明確、また単に「産」とするのも不自然。伝説には龍と蛇がある一方で石名は蛇骨だけ(龍骨は未確認)なので、石名が先(または伝説とは無関係に発生)の可能性も。伝説が先としても、特別な思いが無くても特徴的な石に名前が付けられることは普通にあります。(どれも恣意的な推測かも。)

甲田池の河童も奇妙な伝説です。周囲は水田ばかりで、池の水が無い時期も多く、近くの産川も夏には「笊水」になるという、河童が棲むには過酷すぎる環境。
話者名の記録があるので、今でも調査すれば、もしかしたら採話時のことが何かわかるかもしれません。

現在・未来に合うように過去を"調整"することは、これまでもこれからも、世界中どこでも行われ続けるのでしょう…


ところで、動画では、産川(さんがわ)の水が濁っていましたが、沢山(さやま)池で泥水を流していたのかも。ため池は常に土砂が入って貯水容量が減って行くので、泥水にして流し出したり、土砂の除去を継続的に行う必要があります。最近はどうか知りませんが、冬に産川へ行って、この泥が厚く堆積しているのを見たことがあります。水生生物には生息しやすいもの、しにくいものがあるかもしれません。鞍が淵も昔は人が泳いで遊べるほど深い淵で、竜宮に繋がっているとも言われたそうですが、戦後に沢山池で泥流しを始めるとすっかり埋まってしまったそうです。

小泉小太郎と泉小太郎
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/32564782
伝承の保護者と破壊者
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/34754513
小泉小太郎と蛇骨石
https://kengaku2.blogspot.com/2019/07/blog-post.html
舌喰池の伝説
https://kengaku2.blogspot.com/2019/09/blog-post_29.html
日本遺産ストーリー 子供銀行券 (日本遺産スペシャル)
https://kengaku2.blogspot.com/2020/12/blog-post_31.html
日本遺産 レイラインの幅
https://kengaku2.blogspot.com/2020/10/blog-post_15.html
鷲岩と雨乞い多様性
https://kengaku2.blogspot.com/2020/08/blog-post_19.html
龍王山、レイライン
https://kengaku2.blogspot.com/2020/06/blog-post_20.html

2020年10月15日木曜日

日本遺産 レイラインの幅

有孔虫化石(Pararotalia?)
有孔虫化石(Pararotalia?)

レイラインのイメージ図 信州上田 鹽田平 日本遺產
広報うえだ(令和2年7月)より。ラインというよりベルト? この中なら直線状?

The 2020 July issue of Public Information Ueda City, Nagano, Japan 信州上田 鹽田平 日本遺產
日本遺産ストーリーの"直線"?

レイラインの幅(生島足島神社、泥宮、安楽寺)
レイラインの幅(生島足島神社、泥宮、安楽寺)

レイラインのイメージ 信州上田 鹽田平 日本遺產
線の幅により全域の文化財が 1本の直線状に配置?

イベントは雨で中止でしたが、小さな化石の採集は随時しています。

先日、日本遺産のレイライン(ley line 本来 太陽光線の意味はありません)の線の幅は? という話題があって、Googleマップの「距離を測定」の線を引いてみたら、生島足島神社と泥宮を通る直線から安楽寺八角三重塔までの距離はだいたい1.7km程のようでした。直線を中心にするなら3~4kmで、平野部の大部分が入るような幅です。(3点間の距離から計算してみると、a=5.97km b=4.16km c=1.94km x2=b2-d2=a2-(c+d)2   d=約3.76km x=約1.79km  安楽寺への角度は生島足島神社で acos((1.94+3.76)/5.97)=約17度、泥宮で acos(3.76/4.16)=約25度、信濃国分寺でも acos((5.40+1.94+3.76)/11.23)=約8度。イメージ図では、普通の線と点では一直線にできないので、太い線と大きな丸を使用。直線に近いはずの泥宮・女神岳は省略。直線状だという別所温泉で夏至の日の出がどう見えるか、誰も何も言わないのはなぜ? この方向は犍陀多バッドエンド?)

上田市南部は山脈の方向が「南西-北東」で川の方向性も同様。(産川、湯川、浦野川、内村川、武石川) 地形が日の出方向を向いているとも言えるかも。
地形から川と平野の方向性が決まり、集落、道路、鉄道の方向性が決まるということでしょうか。精神的にも何となく日の出方向を向いて日々暮らすことになるのかも。これまで何かの意味付けがされたことがあるかどうかわかりませんが。(別所線や鉄橋が印象深いのは、日の出・東方の信仰(体に染み付いた東西循環の地勢感覚のようなもの?)も影響している?)

聖地としてPRするなら、水源の整備は不可欠かと。手抜きをすると致命傷になりかねない…

「構成文化財一覧」に「善光寺地震絵馬」がありますが、これは肯定的に扱うのでしょうか… 地震・火災で御開帳参拝の旅行者千人余りが亡くなったと言われていて、偶々助かったからご利益があるとか、むしろ酷い皮肉な話、災害便乗・被災者冒瀆に思えてしまいます。

善光寺地震をご存じですか?
https://www.city.nagano.nagano.jp/soshiki/kikibousai/2615.html

生島足島神社~別所温泉の線=別所線 なので、沿線にランドマークを設置して、収益改善と地域観光の全体的な集客向上を図るというのが目的でしょうか。

※追記:2021年9月に「令和2年度 上田市日本遺産 補充調査報告書」がウェブ公開されました。日本遺産申請におけるレイラインについての認識・考え方がわかる資料だと思います。
このレイラインが伝統的民俗文化でないことは承知されていたようです。(「当時(※昭和58 1983)この説は地元研究者らには全く受け入れられず」4頁 等) その上で、日本遺産認定によって、伝統的民俗だと誤認させることに対しては、何の問題意識も持たれていないように見えました。(嘘は言っていない、勝手に誤認する方が悪い? ほとんど特殊詐欺?)
他にもいろいろ疑問点はありますが、一つだけ書くと、
夏至や冬至に 斜めから見て 鳥居の真ん中を太陽が通る光景は特別でしょうか? 神秘的でしょうか? 斜め鳥居でも確かに真ん中を通っていると言い張るのが 日本遺産クオリティ? それが上田市のシビックプライド? 地域の誇り?

上田市日本遺産 令和2年度事業報告 2021年9月22日更新
https://www.city.ueda.nagano.jp/site/nihonisan/index.html

龍王山、レイライン
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鷲岩と雨乞い多様性
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独鈷山、鉄城山、殿城山
https://kengaku2.blogspot.com/2020/03/blog-post.html
別所層の有孔虫化石
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新しい鞍が淵伝説
https://kengaku2.blogspot.com/2020/10/blog-post_27.html
日本遺産ストーリー 子供銀行券 (日本遺産スペシャル)
https://kengaku2.blogspot.com/2020/12/blog-post_31.html
夕日いろいろ 信州上田・塩田平の日本遺産ストーリー
https://kengaku2.blogspot.com/2020/12/blog-post_19.html
日本遺産 ストーリーのデパートメント化
https://kengaku2.blogspot.com/2020/11/blog-post_12.html
曲がった直線、裸の王様、袈裟供養
https://kengaku2.blogspot.com/2020/11/blog-post_15.html


2020年10月9日金曜日

化石の日と文化祭

カバノキ科?(上田創造館)
カバノキ科?(上田創造館)

クロベの仲間?(上田創造館)
クロベの仲間?(上田創造館)

ダケカンバ?とクロベ?(東部町誌 自然編 91-92頁より)
ダケカンバ?とクロベ?(東部町誌 自然編 91-92頁より)

今週末は国際化石の日とのことで、ちょっとした化石採集体験の話もあったのですが、どうも雨で延期(未定)になりそうです。

オンラインのイベントもあるようです。
日本古生物学会 化石の日
http://www.palaeo-soc-japan.jp/fossilday/

化石の日、県の石
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写真は上田創造館の真田町渋沢産の植物化石です。上はカバノキ科(ダケカンバ、ウダイカンバ、ヤシャブシ、ミヤマハンノキなど)に近いように見えますが、どうでしょう… 下はクロベの仲間で良いのではないかと。
3枚目の写真は『東部町誌 自然編』(平成1 1989) 91-92頁より、同地産の化石で、左の葉もダケカンバっぽく見えます。(90頁のムカシブナもギザギザのカバノキ科にも見えるような…)
右はクロベ。別所層・青木層でも見かけます。(大きめのアスナロのようなものも。同頁のメタセコイアはムカシランダイスギにも見えます。)
(上田創造館の化石の写真は頂き物です。先週久々に行ってみたら、一階の資料室は閉まっていて、見学希望者は申し出るように案内掲示があり、その時は一人で時間もなかったので遠慮してしまいました。)

自由研究の作品展もそろそろでしょうか。毎度ながら予告等は見つからず…
※追記: 公開されました。
令和2年度(第64回)長野県学生科学賞作品展覧会
https://kagakusakuhinten.sakura.ne.jp/

自由研究と疑似科学
https://kengaku2.blogspot.com/2020/08/blog-post_17.html

地域の文化祭もウェブで代用できる部分は何かしらあるはずで、それを支援・応援するような活動も何かあると良いのかも。

以下、化石一覧等の資料です。

『東部町誌 自然編』(平成元 1989) 92頁「表8 渋沢の植物化石」より

植物化石名 ◎多○普通△小 冷温帯植物 温暖帯植物 化石種
被子植物(双子葉植物)
1 ブナ ◎ 温
2 ムカシブナ △ 温 化石種
3 カシワ △ 温
4 コナラ ◎ 温
5 ヤマハンノキ △ 温
6 ヤシャブシ △ 温
7 ケヤキ △ 温
8 ダケカンバ △ 冷
9 ウダイカンバ △ 温
10 アズサ △ 温
11 アサダ △ 温
12 クマシデ △ 冷
13 サワシバ △ 温
14 イヌシデ △ 温
15 アズキナシ △ 温
16 クララ属 △ 温
17 シナノキ ○ 温
18 イタヤカエデ ○ 温
19 フジ属 ○ 温
20 カキ属 △ 温
裸子植物
21 ヒメバラモミ △ 冷
22 コメツガ △ 冷
23 クロベ ○ 温
24 二葉マツ △ 温
25 ビャクシン △ 冷
26 メタセコイア △ 温 化石種
27 ヒルムシロ科 ○ 温


茨木宣雄「真田町、渋沢から産出した植物化石群について -烏帽子岳の基盤の地層-」(『上田・小県 第41号』昭和55.3 1980) より

渋沢産植物化石分類表
 学名 和名 植物体の部分名 産出数
1 Picea sp. (P. cf maximowiczii Regel) トウヒ属(ヒメバラモミ) りん片, 種子 ○
2 Tsuga sp. (T. cf diversifolia (Maxim) Masters ツガ属(コメツガ) 球果 ○
3 Pinus sp. (Diploxylon) マツ属(二葉松節) 葉 ○
4 Thuja sp. (T. cf. standishii (Gordon) Carr.) クロベ属(クロベ) 小枝 ◎
5 Juniperus sp. ビャクシン属 小枝 ◎
6 Alnus maximowiczii Callier. ミヤマハンノキ 葉 ○
7 Alnus firma S. and Z. ヤシャブシ 葉 ○
8 Ostrya japonica Sargent. ヨグソミネバリ 葉 ○ (※ Ostrya japonica はアサダ)
9  Carpinus japonica Blume. アサダ 葉 ○ (※ Carpinus japonica はクマシデ)
10 Carpinus cordata Blume. クマシデ 葉 ○ (※ Carpinus cordata はサワシデ)
11 Carpinus cordata Blume. サワシデ 葉 ○ (※ 10と重複?)
12 Carpinus tschonoskii Maxim. イヌシデ 小苞 ○
13 Fagus crenata Blume. ブナ 葉, 殻斗 ●○
14 Quercus serrata Thunb. コナラ 葉 ●
15 Quercus dentata Thunb. カシワ 葉 ○
16 Sorbus alnifolia (S. and Z.) C. Koch アズキナシ 葉 ○
17 Sophora sp. クララ属 小葉 ○
18 Wisteria sp. フジ属 小葉 ◎
19 Acer mono Maxim. (A. m. Maxim. cf trichobasis Nakai) イタヤカエデ(イトマキカエデ) 趐翼 ◎○ (※ 葉と翼果?)
20 Tilia japonica (Miq.) Simonkai シナノキ 葉, 小苞 ◎○
21 Diospyros sp. カキ属 葉 ○
22 Zelkova cf serrata Makino ケヤキ 葉 ○

●多産 10個以上  ◎普通 5~6個  ○少ない 1~2個


南雲保・田中宏之「長野県真田町東部に分布する更新世湖沼性堆積物中の珪藻」(2001)
http://doi.org/10.14983/00000543